免震偽装


ニュースなどで取り上げられている横浜ゴムによる免震ゴムの事件は、社会的影響の
大きな事柄で該当する建築物の関係者に対して同情を禁じえません。

記憶に残っている方もおいでかもしれませんが、嘗て耐震偽装と言われた事件(姉歯
事件)があり、その結果建築基準及び建築士法が改正されました。

構造設計者が犯した罪は、社会性とその影響の大きさから国会の決議を経て法律の
改正ということに繋がった。建築確認は所謂役所と民間の審査機関のどちらに提出し
ても良いことになっている。この事件の場合は、民間の審査機関であったこともあり、
その後の改正で、確認申請に対する規制は我々設計者にとって驚くほど厳しいものと
なった。言い換えると、必要以上に細かく規定された現実離れした手続きはあまりにも
不評で、数年して緩和されたほどであった。

事件が起こり、警察が動き、政治(家)が取り上げるという見慣れた図式で処理された
この件は、経過がメディアにも取り上げられ、なるほどなるほどという結果でもあった。

建築士の性善説で支えられるべき建築確認及び設計業務の取り扱いを、一つの事
件であっさりと覆されてしまった。罰則規定を厳しくすれば良いという考えは昔からあ
るが、どうもそうはいかないようである。

さて、今回の免震偽装事件は一企業の検査担当者の犯した罪深いが単純な構造の
事件である。前述した耐震偽装事件と同じくメディアが飛びつくような事件でもあり、そ
の再犯防止策として関連機関や国会まで動くことになるのだろうか。耐震偽装(姉歯
事件)と極似している本件が、どう扱われるのか我々設計に携わる者にとって大いに
興味があるところです。

当社でも近年免震構造を取り扱うようになっているので他人ごとではありません。